皆既月食を撮った話。
2018年1月31日。時刻は21時30分すぎ。私は月食を観察するため極寒のベランダへ出た。
月食が始まったのは20時50分ごろだったから、もうあらかた欠けている時間。
Twitterなどでは数日前から「スーパーブルーブラッドムーンらしいぞ!」などと騒がれていたが、実際に見た感じただの皆既月食と何が違うのかいまいち分からなかった。
- スーパー →いつもより月の距離が近い
- ブルー →一月に満月が二度ある
- ブラッド →月食時の月が赤いから"血"
- ムーン →月
ということらしい。
私は久々に望遠鏡を取り出し、一般人よりワンランク上の観察を試みることにした。
やはり天体観察は望遠鏡に限る。双眼鏡なんて生半可なものではいけない。
望遠鏡は、ここ最近は使う機会がなくずっと引き出しの奥に幽閉されていたのだが、まさに今こそが使う機会だと思った。数年に一度の天文ショーを逃してはならない。
カビなどはなく状態は概ね良好。
覗いてみても特に見えにくいといったことはなかった。
三脚と望遠鏡を慣れた手つきで手早く組み上げる。
数年振りだったが、仕組みは簡単なので特につまずくこともなく。
そうして組み立てまではサクッと終わったのだが、その後が大変だった。
まず、ポインタの調節をサボっていたから、望遠鏡をどこに向けるかは完全に勘になってしまった。
これがかなり難しかった。
いつも月を探すときは、望遠鏡を適当に動かしていてもすぐ見つかるのだが、今回は月食していて暗いからそうもいかない。
そしてなんとか見つけた後も、ピント合わせに苦労させられた。これもやっぱり暗くてはっきり見えないせいでいつもより格段に難しかった。
やっとのことで月にピントを合わせ、ファインダーを覗く。
ん?微妙じゃね…?
苦労して見つけたわりにいまいち色が薄く綺麗ではない。暗いせいだろうか。普通に裸眼で見た方が綺麗に見えた。
望遠鏡でみるなら、予め目を暗闇に慣らしておいた方がいいかもしれない。
そうして、望遠鏡は特に活躍することもなく再び引き出しの奥へと幽閉されることとなった。悲しい。
そういえば、私は去年望遠レンズを買っていたのだ。
初心者向けモデルのセットに付いて来るような安いものだけれど、一応きちんとした望遠レンズなのだから月も撮れるのではないか……?と思い付いた。
今まで一度も夜空に向けたことがないから全く見当もつかないが。
ということで一眼レフを取り出して、とりあえず一枚撮ってみることにした。
うん。流石に何も考えず素手で撮ったのは阿呆だった。そりゃブレるに決まってる。
しかしブレてはいるものの、形はきちんと月っぽいし、色も新しい10円玉みたいに綺麗だ。
そこで、今度はきちんと三脚を用意した。
レンズと同じく去年買ったものだ。
そして、Tv(シャッター速度優先)モードでシャッター速度を8秒にして撮り直してみる。
ああ、さっきよりは幾分もいい。
月の模様も見えるし、周りの星まで写っている。
しかし、地球の自転のせいかカメラがきちんと固定されていなかったのかまだ少しブレている。
そこで、シャッター速度を思い切って0.5秒にしてみた。相当暗くなってしまう気がして心配だったが。(カメラは基本シャッター速度を早くすると撮れる写真が暗くなってしまうのだ)
お、よくないか?
暗くはなったが、むしろそのおかげでいい感じに月の光も絞られ、ノイズが誤魔化せている。背景の宇宙が深い黒になり、月の輪郭がはっきりくっきり見える。
結構綺麗に撮れたと思う。
望遠レンズを用いれば月くらいならきちんと撮れることがわかった。
今まで「月を撮るのはカメラ一台では無理でしょ(笑)」とかいうよく分からない固定観念(?)があったので、綺麗に撮れて結構びっくりした。
一眼レフの可能性に気づいた。
その後、23時10分ごろに皆既月食は終わり、月にだんだんと光が戻ってきた。
月食終了までしっかり見たかったのだが、月が半分ほど光を取り戻したあたりから上空に薄い雲が広がり始め、数十分後にはすっかり月がぼやけて形が分からなくなってしまったので見れなかった。非常に残念だ。
しかし、皆既月食自体はしっかりみることができ、写真におさめることもできたので非常に良かった。
やっぱり宇宙はいいな、と思った夜だった。
次は望遠鏡が活躍できる天体を見たい。
以上。また今度。
P.S.一応使用機材を記しておきます。
カメラ:Canon EOS30D
レンズ:EF-S 55-250mm f4-5.6 IS II