ChronoBox

思索の出力ポート

真冬の北海道巡り - ほぼ鉄道、たまにその他。

「冬の、雪国を走る鉄道っていいよなあ」という、何気ない会話をきっかけに、本当に雪国に行くことになった。大学生特有のフットワークの軽さ(?)。

どこまでも白い大地で、雪を巻き上げながら進むディーゼル・カーには、都内の通勤電車にはない良さがある。それを語るうちに、旅程はどんどん組み上がる。

 

年が明けてついに我々は北海道へ飛んだ。

ひがし北海道フリーパスなるものを用いて、縦横無尽に北の大地を駆け回る旅が始まった。

www.jrhokkaido.co.jp

 

参加者

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1日目

Peach新千歳空港

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MM583

Peach Aviationで成田 NRTから新千歳 CTSへ。9:20にNRTを出て、11:10にCTSに到着する。

ひがし北海道フリーパスはJRとPeachによる企画切符だから、使うにはPeachの航空機に乗る必要がある。LCCだからもちろん格安。

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機内。綺麗だが座席が狭い。その代わり死ぬほど安い。

今まで北海道といえば、鉄道のとりわけ青春18切符で乗れるものでしか行ったことがなかったので、飛行機で行くと大変不思議な感じがする。

丸24時間かけないと到着できなかった遥か遠方の地に、ものの2時間程度で到着してしまうのだ。時代が進んだ音がした。

 

北海道最初の食事はラメーン

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新千歳空港にはラーメン道場なる場所がある。色々なラーメン屋が集まっている。

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焼豚味噌コーンバターのせ

初日から弟子屈ラーメンでバッコリ重々ラーメンをキメる。脂とは若年の特権である。

久しく味噌ラーメンを食べていなかったが、大変美味しかった。

 

さあ鉄道へ

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空港直結

駅は空港直結である。

窓口にて冒頭で紹介したフリーパスを購入し、快速エアポートに乗り込んだ。

takemats0はこの列車を「エアッポヨ」と呼んでいた。

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いよいよ鉄道旅の始まりである。

 

1日目はまず新千歳空港を出て、新得へ向かい、東鹿越、滝川を経由し小樽へ至る、という計画を立てていた。

 

しかし、早速我々を災難が襲う。

旅程を改めて確認していたとき、恐ろしい事実に気がついた。

 

我々が使う予定だった時刻の代行バスが消失していた。

 

根室本線は色々あって部分的に不通区間が存在している。

JRはその部分に代行バスを走らせているのだが、時刻表を確認したらそのバスが一本減っていたのである。しかも、減ったのはよりにもよって今回使う予定のバスだった。

早速予定がぶち壊れた。これでは新得から抜けることができない。

 

別に宿泊先は小樽だから、わざわざ新得に行かなくてもなんとかなる。しかし、今回は鉄道に乗るために来ているのだから、根室本線に乗らない手はなかった。

 

さらに良くなかったのが、とりあえず南千歳で降車してしまったことである。

これによりさらに時間の猶予が消えた。

 

我々は夜の寿司を犠牲とし、予定とは逆の滝川方面から根室本線へ向かうことにした。小樽への到着予定時刻が4時間ほど遅くなった。

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これは文脈と全然関係ない快速エアポート新千歳空港行)

 

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これも関係ない特急スーパーおおぞら


滝川へ

気を取り直して行程に戻る。

札幌で快速エアポートを降り、特急カムイに乗り換える。一部界隈ではカムイッポヨとも呼ばれる。

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特急カムイ

ひがし北海道フリーパスは、特急でも自由席なら乗り放題なのである。というわけで自由席に乗り込む。

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車内はそこそこ空いていた。

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いかにも北海道らしい、真っ白な景色を眺めながら滝川駅へ。

札幌を出てものの十数分でこんな景色になる。

 

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滝川駅に到着した。線路だけでなくホームまで真っ白だ。

見切れているが、右側に赤いカバーのかかった除雪機が置いてある。

 

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屋根は錆びていて年季が入っている。

この時計は4分ほど遅れているようだった。

 

エレベーターは最近取り付けられたのか場違いなほど新しかった。バリアフリーの波を受けたか。

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エレベーターホールの窓に窓霜があった。外の寒さを物語っている。

weathernews.jp

 

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滝川から芦別まではキハ40に乗る。今まで乗ってきたのは電車だが、ここからはディーゼル・カーだ。

これぞローカル線と言わんばかりの見てくれと音。振動する車体も、排ガスの臭いすらも良い。

 

芦別代行バス

特に何か景色を撮るでもなく芦別に到着した。

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降車すると雪国が迎える。例年より雪は少ないが、それでも真っ白に染まった大地は綺麗で、格別にキハ40を映えさせた。

 

ここからは例の不通区間なので代行バスに乗る。

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どんなバスがくるだろう…といろいろ考えていたが、普通に普通の観光バスだった。

乗客もまあまあいた。需要は充分にありそうだが、なぜ我々が乗る便だけ消えてしまったのか。

 

バスだが電車の代行だから、もちろんフリーパスで乗車可能。

 

東鹿越から

富良野からまた根室本線に乗り、東鹿越へ向かう。

東鹿越についた頃には辺りは真っ暗だった。

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しかし、時刻はまだ17時台とさほど遅いわけではない。

 

ここから新得までまた不通区間なので、代行バスを利用した。

先ほどと同じような観光バスに乗る。

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国道だが明かりがない箇所も存在する。

光っているように見えるのは、道路の端を示す看板が反射しているものだ。

 

新得

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そんなこんなで新得に辿り着いた。時刻は19時前。夕食の時間帯である。

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本来の予定ではもう小樽に到着し、さあ寿司を食らいに行こう!と身支度していた頃だろう。しかし何故か我々は小樽から150kmほど離れた新得にいた。ぜんぶ雪のせいだ(本当は根室本線のせい)。

 

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夕飯はかつ定食。美味しい。

 

小樽へ

夕食を済ませたのち、足早に駅へと戻った。

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雪が静かに積もるだけで音は少ない。

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新得駅のホームには独特ののりば案内看板があった。帯広方面が2つに分かれているのはなぜだろう。

 

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階段をのぼると謎の看板を発見した。なぜWELCOME TOで切ってしまったのか。TOを付けないか、もしくは後ろに"SHINTOKU"とか付けるべきだと思った。

 

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線路もホームも真っ白である。遠くでナトリウムランプが雪を橙に照らしている。冬の北海道の夜だ。

 

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とかちに乗り込む前におおぞらとの行き合いを撮影した。

ここからは札幌までスーパーとかちで一本、そこからは函館本線で小樽へ向かう。

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車内は静かで快適だ。これだけ特急に乗りまくっていると慣れてしまいそうで恐ろしい。東京に戻ったらまた通勤電車しか乗らない生活が待っているというのに。

 

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そんなこんなで小樽に到着した。どんなこんな?

時刻は23時すぎ。どこにも寄ることなくホテルへ向かった。

 

チェックイン後はコインランドリーの乾燥機と格闘しながらトランプ大統領の会見を見るというカオスな夜を過ごした。早く寝たかったが、洗濯物が乾かないと寝ることはできない…

 

 

2日目

小樽観光

目覚めは悪くない朝。

昨晩はなかなか洗濯物が乾かず、寝たのは結局2時を過ぎてからだったが、だからと言って起床時間を遅くすることはできない。今回の旅程はタイトなのである。

というわけで、9時前にはホテルを後にした。本当にただ寝床を提供してもらったみたいな感覚があった。洗濯もさせていただいたが…

 

ホテルから運河へ向かって歩く。

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これは手宮線の跡地。1985年ごろまで使われていたらしい。

 

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道路はきれいに除雪されていた。路肩に積もる雪の量は、例年ならもっと多いんだろうな、とか思いつつ通り過ぎる。

 

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これがかの有名な小樽運河である。小樽の、北海道の玄関口としての使命を支えたとも言える運河だ。物流の拠点として活躍した。今は退役し、余生をゆっくりと過ごしている。

 

岸には倉庫が立ち並んでいる。 

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小樽運河も冷えている。このように、流れのない場所は半分程度凍っていた。

 

さて、その後寿司屋を探して、重い荷物を背負いながら小樽市街を練り歩いたが、開いている寿司屋がほとんどない。どの店も大体11時くらいに開店するようだった。出発が11時10分なので間に合わない。

 

迷い歩くうちに、三角市場なる場所へたどり着いた。

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小樽駅の横に位置する。

その名の通り市場であるが、鮮魚を扱う海鮮丼屋もいくらか入っている。幸運なことに、もう開いているお店が多かったから、ここに入ることにした。

 

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朝一番に食らう海鮮丼は最高だ。贅沢!

 

旭川稚内

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小樽はガラスで有名らしく、駅の照明はランプ風になっている。駅全体、大正から昭和の雰囲気が漂う。

 

さて、小樽を後にしたら、ここからはほぼ一日かけて稚内へ向かう。

 

札幌までは快速いしかりライナーに乗る。所謂通勤電車。

 

札幌からは特急ライラック旭川へ。

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テーブルにはガラナを。北海道に来たからには飲まざるを得ない飲み物である。

薬っぽい風味があるので好き嫌いは分かれれそうだ。ドクターペッパーとか、ルートビアとか、その辺と似たものを感じる。私は好きだ。

 

札幌をでて1時間10分で旭川に到着した。結構寒い。

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真っ赤な除雪車が入線してきた。今年は少雪だから、あまり出番はなさそう。

 

さて、ここからはいよいよ特急サロベツに乗る。サロベツはひがし北海道フリーパス範囲外なので、別途きっぷを用意する必要がある。

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キハ261系

待ち構える青い顔。この列車が雪を散らしながら銀世界を走る様子を、昔図鑑で見たことがある。

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13時35分に出発し、終着の稚内に到着するのは日も暮れる17時23分。4時間かけて北海道の北端へと走る。

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小樽で買っておいた弁当を展開。

旭川を出ると民家も少なく、車窓からはただただ雪原が広がっていた。

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少雪とはいえ、関東在住目線では、割とまともに雪が積もっているように見える。例年はどれだけ積もっているのだろうか……

 

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月が出てきた。真っ白だった山肌も紅く染まってゆく。

 

稚内

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そうして日本最北端の駅、稚内に到着した。

あたりは日が暮れて真っ暗だ。

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最北端オタク行動。爪が長い。成田で切り忘れたのを気付いて以来、旅行中ずっと気になっていた。

 

今夜は稚内で宿泊だ。 

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稚内はロシアに近い。ユジノサハリンスクまでの定期航路もある。そのため、街自体ロシアと関わりが深いようで、道路案内標識など様々なところにロシア語が併記されている。

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というわけで、私も夕食はロシアンにビーフストロガノフで。美味しい!

 

3日目

利尻島

最北端のめざめ。小樽の時とは違って、洗濯をしなかったから早めに寝ることができた。しかし起床時刻は早いから、あまり長い時間寝れたわけではない。

3日目は稚内を出て利尻島へ向かう。

 

利尻島とは

ここである。

北海道の西側にあるまん丸な島、利尻島。昆布などで有名である。

 

稚内からはフェリーの定期便があり、簡単に向かうことができる。

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日も出ていないうちに出航する便に乗った。海上で日の出を迎える。

遠方に微かに見えるのはサハリンだろうか?わからない。

 

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稚内の方向から日が登る。

オホーツクの日の出も美しい。

 

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8時半すぎに利尻島の鴛泊港に到着した。見事な鱗雲と利尻富士

寒いことには寒いのだが、凍えるような寒さではなかった。

 

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利尻島はバスで移動する。もちろんひがし北海道フリーパス範囲外なので実費。

1DAY乗車券というのもあるのだが(というか使うつもりだったのだが)生憎冬季は使えない。利尻に来るなら、交通の便を考えると夏がおすすめだ。

 

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夏はバスが動いているのに加え、サイクリングロードを走ることもできるので、冬より幾分も便が良さそうである。

 

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まず、帰りの飛行機を予約するため空港へ向かう。スカイメイトを利用するから、当日に向かう必要がある。

 

利尻のバスは便によって空港に寄ったり寄らなかったりする。定期便の発着時刻に合わせているのだろう。

今回乗ってきたのは寄らない便だから、バスが通るルートのうち最も空港に近い場所で下ろしてもらった。フリー乗降区間であるため、運転手に申し出れば好きな場所で車を止めてもらえる。

 

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道は凍りついている。

運転手に「ここから20分くらい歩けば着くよ」と教えてもらった。距離だけ見れば10分以内でも着きそうだが、降雪+凍結のデバフがかかっていることを鑑みれば20分はかかりそうだ。運転手はそれも考慮した目安時間を教えてくれたのだろう。

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こんなところを歩いている観光客などこの時期にはそういないから、道ゆく車の運転手に不思議な目で見られる。

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犬の散歩の跡。

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本当に20分くらいで着いた。

 

利尻 RIS から 丘珠 OKD までのスカイメイト航空券を無事入手できた。これが入手できなければ旅程は破綻してしまう。

他にも乗客はまあまあいるようだった。

 

さて、本来ならここからバスで沓形の方へ向かうつもりだったのだが、前述の通り冬季はバスのフリーパスを使うことができないため、金を節約するためにも歩いて利尻島を探索することにした。

 

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利尻富士。雲がかかってきている。結局この後我々が山頂を見ることはなかった。

 

本泊

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本泊にある会津藩士の墓。島内に3箇所ある墓のうちの一つ。

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利尻本泊神社。赤くて綺麗だ。

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壊れそうな建物。

 

富士岬

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富士岬の付近。崖になっている

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道道105号線。交通量はそこそこあった。

 

セイコーマート利尻店

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セイコーマートの亡骸。

マップで案内された場所には廃墟があったので、昼飯が消えた…と絶望したが、向かいに新店舗があった。良かった…

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新店舗

昼食を取る。きちんとイートイン納税をした。

 

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店先では寒いのに猫がいた。割と太っている。

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ペシ岬

鴛泊の手前に大きな岬がある。ペシ岬という名前のその岬は、標高90mほどの岩山である。

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 ペシ岬のふもとにも会津藩士の墓がある。

 

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これがペシ岬だ。なだらかに見えるが、登るのは結構大変である。岩山な上に、積雪まである。

 

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なんとか辿り着いた頂上からの眺望はなかなか。向こうに見えるのは礼文島である。結構平べったい。

 

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こう見ると本当に雪が少ない。

 

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泊港利尻富士。山頂は完全に雲に隠れてしまった。

 

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鴛泊灯台

 

100mに満たない高さでも眺望は充分。利尻富士の山頂が隠れてしまったのが惜しいが、天気は概ね悪くなく、いい景色を見ることができた。

ただ、結構な急斜面だったから、カメラ機材や着替え等々を全て背負っていた我々にはなかなかハードだった。

 

利尻山神社

前述の利尻富士は、正式名称では「利尻山」と呼ばれる。その山麓(島全体山麓みたいなものだが)には、利尻山神社というのがある。

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ペシ岬で体力を削られた後、ヘトヘトになりながら到達した。

着く頃には雪が降ってきていた。

 

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鈴や鈴緒、賽銭箱は室内にある。積雪するからか、あるいはカラスがいるからか……

利尻島にはカラスがやたら多い。散歩中も、いつもどこかしらから鳴き声が聞こえていた。

 

利尻富士温泉

お参りを終えたら本命ともいえる利尻富士温泉へ。

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平成に発掘された比較的新しい温泉らしい。利尻富士のマグマで温められた湯だろうか。

 

観光客も訪れそうなものだが、今回は冬季+平日というのもあってか、利用客は皆地元住民という感じだった。

露天風呂からは利尻富士を望むことができる。

 

丘珠へ

温泉から上がり、一休憩挟んだくらいでバスがやってきた。寸分の狂いなく、時刻表通りにやってきた。

 

今回乗るバスは朝に乗ったものとは違い、空港を通る。

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空港前で下り、バスを見送る。

カッチカチの道路をよくうまく運転できるものである。

 

保安検査等を済ませ、空港内で飛行機を待つ。

利尻と丘珠を結ぶのはJALグループであるHAC(北海道エアシステム)の航空機である。プロペラ機だ。

ちなみに、システムはアルファベットにするとSystemだから、HASなのでは?と思うかもしれないが、Hokkaido Air System Co., Ltd. の頭文字らしいのでHACで問題ない。なんでもHASだと北海道エアサービスと被るからHACにしたとか。

 

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機体は退役も近いSAAB340B。今回が最後の搭乗になるかもしれない。

昨年11月にエンジントラブルを起こして世間を騒がせた機体である。

 

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利尻富士とSAAB340B。雲がかかっているのが大変悔しい。

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鶴丸塗装。実はアーク塗装の方が好きな筆者。世代的に鶴丸よりもアーク塗装の方に馴染みがあるのである。

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エプロンを歩いて飛行機まで向かうのは、プロペラ機の醍醐味とも言える。航空機ファンとしては、舐め回すように機体を観察できるので最高だ。

大型旅客機だと、ボーディングブリッジから搭乗するにしても、タラップ車で搭乗するにしても、なかなか機体を近くで見ることはできない。(あるいは近すぎて見にくい)

 

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機内は狭い。席は3列、頭上の荷物入れは1列。

座席は3年ほど前に更新された、比較的新しいものである。背もたれが薄めで、座席下にも構造物がないため、機内がこれだけ狭くても座っていて狭っ苦しいとは感じなかった。

 

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ブルルルルルというプロペラ特有の音を発しながら離陸する。

プロペラ機は飛行高度が低めだから、機窓からの景色がいい。

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一時間足らずで札幌・丘珠空港へ到着する。

飛行機はやっぱり感覚がバグる。ライラックサロベツ、フェリーと乗り継いで、一日かけて行った場所から、たった一時間で戻ってきてしまうなんて。

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降りた後も徒歩。SAAB 340Bのかっこよさを再確認する。

 

丘珠空港は札幌市街のはずれにある小さな空港だから、市街に戻るには鉄道を使う必要がある。

札幌市営地下鉄。鉄輪ではなくタイヤで走っているから、独特な加速感がある。

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これで札幌駅へ向かい、乗り換えて本日は層雲峡へと向かう。

 

上川、そして層雲峡へ

稚内を出て、利尻島を歩いたのと同じ日に、今度は札幌で特急オホーツクを待っているのが信じられなかった。どれだけ移動しているんだ。

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これが特急オホーツク。年季の入ったキハ183系だ。

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札幌から網走まで走る。

我々は上川まで乗る。

指定席には空席も見られたが、自由席はデッキまで人で埋まるほどに混んでいた。まさか、北海道の特急で満員電車に揉まれることになろうとは……

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美唄あたりでなんとか空席を発見し、座って上川まで来ることができた。

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二つ隣のホームにはキハ40が停車していた。

 

上川で下車するとあまりの寒さに驚いた。

一般に、海水よりも陸地の方が温度が変わりやすい。だから、より北に位置する利尻や稚内よりも、内陸である上川の方が寒くなりやすい。

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利尻で使ったタオルがいい感じに湿っていたので、試しに振り回してみると、見事に凍ってしまった。Googleで気温を調べると、-13℃だった。

 

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上川町は、スキージャンプの高梨沙羅選手の出身地でもある。

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駅前には人気はない。

 

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駅から層雲峡まではバスに乗る。

雪道を軽快に運転する運転手は、かなりの手練れな感じがした。

同乗者も少しいた。地元住民だろうか。

 

30分程度で層雲峡に到着する。

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層雲峡は上川駅よりもっと寒く、利尻では暑いくらいだった服装でもガチガチと震えるほどだった。素手でカメラを持っていると手がどうにかなってしまいそうな。

 

ホテルにチェックインし、遅めの夕食をとる。

チェックイン時刻が夕食の時間を過ぎてしまうため、お弁当を用意してもらっていた。これは遅延があったとかではなく、完全に予定通りである。

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ボリューム満点。美味しかった。

 

この後は温泉に入り(一日に二回温泉に入る男)、ゆっくりと時間を過ごした。今回の行程で最も「旅行」らしさがあったかもしれない。

ちなみに、氷点下だから露天風呂に入ると髪が凍る。

 

4日目

層雲峡で迎える朝。

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朝ももちろん寒い。

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夜はよく見えなかったが、なかなかの峡谷であった。

 

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再びバスに乗り、上川へ戻る。

ハイデッカーグリーンで網走へ

ここからは網走へ向かう。昨日乗ってきた特急オホーツクの、残りの区間を制覇する。

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座席は課金してハイデッカーグリーン車にした。キロ182で行く北海道オホーツク旅。

財布がまた薄くなったが、それだけの価値はあると思う。

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ハイデッカーというのは、通常より高い位置に座席がある車両のことである。窓が屋根まで伸びているのもあって、眺めが良い。

 

また、グリーン車だから、座席もかなり良い。

普通車は2+2の4列シートだが、グリーン車は2+1の3列シートを採用しており、広々としている。

 

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空席はあるが、にしても乗車率は割と高かった。土曜日だったからだろうか。

 

遠軽スイッチバックでは乗客が一斉に立ち上がってシートを転換する。なかなか珍しい光景だった。

 

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という感じで、リッチな座席で網走に辿り着いた。

キハ183系は、内装は綺麗だったが、外から見ると塗装がところどころ剥げているなど、だいぶ年季が入っている様子が窺える。

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乗ってきた特急オホーツクは特急大雪となり、また旭川へ帰っていった。

 

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さて、網走駅である。

ここも沿岸部だから層雲峡ほどは寒くない。

ここからはバスに乗って、収監されに行く。そう、網走監獄だ。

 

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バリアフリーのかけらもないガチステップバス。

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シート配置はなんだか高速バスみたいである。

 

網走監獄

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到着した。網走監獄。

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釧路地方裁判所網走支部

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中では無数の蝋人形で忠実に裁判の様子が再現されている。

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舎房は国の重要文化財に指定されている。レンズの画角の都合で収まらなかったが、舎房は後ろ側に放射状に伸びており、左右に部屋が並んでいた。

 

なかなか面白かったが、何故か写真を撮るのをサボっていたため、あまり紹介ができない。建物はこの他にも無数にあり、懲役の様子や入浴の様子が蝋人形で再現されていたり、資料館となっていたり様々だった。

ちなみに、昼食は道中すき家で入手した牛丼弁当。北海道まで来てすき家

 

釧路へ

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と、見学を終えて網走駅に再び戻ってきた。

ここからは釧網本線に乗って釧路を目指す。

 

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キハ40とキハ54が連結している。

キハ40は釧路までは行かず、知床斜里で切り離しとなる。野上峠を越える際、キハ40は重くて出力がちょっと足りないらしい。

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座席には0系新幹線の廃車発生品が用いられている。

 

野上峠を越え、摩周湖を通り、釧路を目指す。

網走の時点での外の明るさから分かる通り、出発は夕方だったため、程なくして日没を迎えた。そのため、景色はあまり楽しめていない。

 

しかし、鹿に衝突するという一大イベントが発生したため、釧網本線の印象は強い。

 

先日乗った特急サロベツもそうだが、北海道には鹿が発生する区間を走行する列車が数多くある。釧網本線もその一つで、山間を走行する際には頻繁に鹿笛を聞く。

しかし、鹿笛で逃げ切らないこともある。そうなると衝突してしまうのである。

鹿笛の甲高い音が複数回鳴り響いたのち、列車は急ブレーキをかけた。減速して停車する直前、何かにぶつかるような音がした。

5分くらいで発車したから、事故の規模としては大したことなかったのだろうが、しかし都民からすればなかなか体験し得ないことだったため、だいぶ衝撃的だった。

 

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そんなこんなで釧路に到着した。どんなこんな?(二回目)

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小樽以来の大都市という感じだ。

空がほんのり色づいているのは、街の光に雲が照らされているのだろうか。

 

夕食は有名なB級グルメ店で頂こうとしたのだが、運悪く時間に間に合わなかった。

仕方なく別店舗に入ったが、比較的高くついてしまった。釧路にしてやられたというわけか(?)

基本出費をケチっているだけに、こういった想定外のそれが悔しい。

 

釧路の、線路を挟んで南側はだいぶ民度が低いように感じられた。夜の繁華街だから当然といえば当然かもしれないが、寄ったヤンチャそうな若者が闊歩しているし、コンビニ前では入り口を塞いでタバコを吸う者もいた。雑魚オタクの私には分かり合えそうもない、怖い人たちだ。

 

店を出ると霧が発生していた。

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釧路は「日本のロンドン」とも呼ばれるほどに霧が出ることで有名である。夕食前までは視界良好だったのに、一変して濃霧に包まれてしまったから驚きである。

 

5日目

根室

とうとう最終日だ。しかし素直に帰るわけじゃあない。根室に寄ってから帰る。

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白く寒そうな枝。

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昨晩の霧が嘘かのように視界はスッキリしている。

今日も今日とて鉄道に乗る。

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今日乗るのは花咲線だ。

正式には根室本線の一部なのだが、とりわけ釧路から根室区間は「花咲線」という愛称で親しまれている。ちなみに、花咲駅は2016年に廃駅となってしまった。

 

釧路駅の付近は晴れていたが、しばらく走ると突然視界が白けた。

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この付近はひたすらレールが走るのみで、他は自然が広がっている。もっとも、北海道の路線では割と普通のことである。

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霧を抜けると凍りついた湿原が広がる。夏は彩度が高い緑と水が広がり、冬は彩度が低い大地と氷が広がる。

線路の近くを鹿が歩いていることも。鹿笛に驚いて逃げる姿も見られた。

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画像中央付近に鹿がいる。望遠レンズは荷物の軽量化のために持ってきていなかったから、大変分かりにくい写真しか撮れなかった。

 

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日本最東端友人の駅、根室駅へ到着した。わざわざ「有人」とつけているからには、ここからさらに東に無人駅があるわけである。それが、花咲線根室駅の一つ手前にある「東根室駅」だ。根室駅の東にあるんだろうな…と、名前からすぐ分かる。

花咲線は基本東に伸びているのだが、最後にカーブしている。そのため、途中駅の東根室の方が、根室よりも東に位置するのである。

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ここからはバスに乗り、納沙布岬を目指す。無論、フリーパス範囲外。

根室駅から納沙布岬までは23kmほどと結構な距離がある。

 

納沙布岬

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バスを降りると、「四島のかけ橋」が目に入る。巨大なので目立つ。

中央では火が燃えている。「祈りの火」というらしい。

 

納沙布岬は北海道のもっとも東に位置しており、北方領土を望むことができる。そのため、こういった領土返還を願うモニュメントが数多く存在する。

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島を還せ、という碑。

 

この日は晴れていたが、水蒸気が多いのか遠方は霞がかかっており、最良ではなかった。

岬には、足元に矢印と共に島名が書かれた表示があるから分かりやすい。

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秋勇留島

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貝殻島灯台

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水晶島

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国後島羅臼山)

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国後島(泊山)

またしても望遠レンズが欲しくなる場面。軽量化が一番大事なんだ…!(言い訳)

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あらゆるものが日本最東端となる地。

 

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昼食は蟹カレーをいただいた。蟹の味がカレーに埋もれてしまうのでは?と思ったが、意外にもしっかりと出ていて、それでいて喧嘩もしておらず、美味しかった。蟹ってカレーに合うんだなあ。

 

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最東端のお店の近くでは猫がたむろしていた。人間にも慣れており、我々が近付いても全く気にしない。関心がない。

 

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そうして、我々はバスに乗って、また根室への帰路を辿った。

全てを見尽くすには滞在時間が短かったが、この後夜の便で新千歳から東京まで飛ばなければならないのである。時間に猶予はない。

しかし、そんな過密スケジュールの中でも、最後に寄っておきたい場所があった。

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そう、前述の東根室駅である。

バスの経路から少し外れており、数十分歩く必要があったが、電車には間に合いそうだったから敢行。

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ホームは簡素なものである。ウッドデッキのような見た目をしている。黄色い点字ブロックも、白線もない。駅として最低限の設備がある感じだった。

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接近放送もなく、遠くから単行列車が近付いてくる。

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キハ54のお出ましだ。

 

釧路まで戻り、スーパーおおぞらに乗り換える。
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釧路から札幌まで。今回の旅で最後の特急列車だ。

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車内では牛すき重のお弁当を食べる。これがまたおいしい。

 

札幌でエアッポヨに乗り換え、新千歳空港へ。

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帰りはANA…ではなくAIR DOだ。まあ、実質ANAみたいなもの。

takemats0はJALでマイル無双したため、ここでお別れ。お疲れ様でした

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座席もpeachより幾分も広く、快適だった。値段が違うから、当然といえば当然。

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アクアラインは見事な直線だ。街灯も等間隔。

 

という感じで、羽田まで戻り、旅は終了した。五日間ぎゅうぎゅう詰めの旅程だったが、とても充実しており、楽しかった。一体何km移動したのかわからないが、北海道全体を駆け抜けた五日はだいぶ良かった。

 

北海道は夏も良いものだが冬も良い。ひたすら銀世界を走る鉄道に乗ろう。

 

充実していたのと私の怠惰が相まって、ブログ記事を完成させるのに一ヶ月以上かかってしまったが、ご容赦!

ではまた!